週刊少年ジャンプ(2019年6・7号)感想

引用:週刊少年ジャンプ2019年6・7号より

ONE PIECE

良い笑顔してんねえロジャー……。心の底から楽しそうで、それ以外の気持ちも混じっていそうな、複雑な笑顔だ。本当に楽しそうで、まったく影がなく、だからこそ複雑な想いを吹き飛ばしている感じがする。ラフテルが笑い話という意味は映画でやっていたらしいけど、なるほどとても面白いね。こういうのが伏線っていうんだよな。

鬼滅の刃

最終決戦の最中にモブ隊士たちが何かしている描写を入れるというセンスが良いよねえ。戦っているのは主人公たちだけではなく、それぞれが自分に出来ることをしているという気がする。そして彼らの何気ない(しかし親切な)行為が猫(茶々丸だっけ)を救うことになり、それが柱たちの助けになる。吾峠先生は本当に視野が広いな、と思うのはこういう描写なんだよね。主人公たちの戦いのことだけを考えているわけじゃなく、戦場そのものを俯瞰しているんだよね。

灼刀の条件が万力の握力、と言うのは色々な意味で驚きだ。え?それだけ?と言う気持ちとなるほど……と言う気持ちが同時にある。刀って握るのに実はあまり力を入れないらしいね。むしろ脱力が大事だと聞く。万力の力を込めつつ刀を振るうなどと言うことは本来矛盾してるので、達人ほどに思いつかない。だからこそ灼刀は誰にも再現出来なかったのだろうね。縁壱の握力が人間離れし過ぎていたということなんだろうなあ……。そして、日輪刀の本当の力は熱することで発揮されることがわかった。これは万力の握力が灼刀の唯一の発動条件ではないということを示している。禰豆子の爆血によって灼刀が発動したのも同じことで、つまりは日輪刀の温度を上昇させることが灼刀の条件なんだね。かつての天才がやったことを、後代の人間が理論的に組み立てていく。これもまた人間が紡いでいくものの一つだろうなあ。

アクタージュ

今のアクタージュは本当に面白いなあ。表向きは羅刹女という活劇のエンタメであり、その裏では暴走する夜凪の演技を他の役者たちがいかに破綻なく受け止めて物語を結末に導くための苦闘を描き、そして花子さんという一人の怒れる芸術家が救われるためにはどうするべきなのかが描かれる。物語が三重構造になっているんだよね。もちろん、作品としてのメインは夜凪VS王賀美たちがメインになるけど、やはりすべては花子さんのための物語につながるんだろうな。

白石さんの三蔵法師の解釈は、夜凪の頭を冷やして芝居のコントロールを取り戻すためもあるけど、つまり三蔵法師は人間であるという解釈だね。怒りも憎しみも持つ人であり(この場合、他者を傷つけて省みない羅刹女に対する怒り)、その怒りを堪えてなお他者を許そうと努力する人物であると。すべてを許す寛大さを持っていないのでこれでは三蔵法師の格が落ちると思う人もいるかもしれないね。しかし、むしろ決して看過出来ない怒りを抱きながら、それでもなお他人を許そうと試みることが出来る人は本当に立派だと自分は思う。なんでも許せる人と言うのは、結局はなにも大切にしていない人なんじゃないかと思うし。だから、こういう三蔵法師の解釈も良いと思うね。まあ、客観的に考えると三蔵たちこそ羅刹女の家に押し込み強盗をしているわけで、それで怒るのはどうなんだという気も、ちょっとはする。でも、羅刹女が民を苦しめているのは確かなので、まあその辺は別にいいかな。むしろ、羅刹女に対して「自らを砕くほどの怒りを抱いていても、それでも他者を許さなくてはならないのだ」と言う一つの答えを提示していると言う点が重要だ。

約束のネバーランド

結局、鬼よりも人間の悪意が上回るという展開かな。いや、“悪”の存在は人間や鬼などは関係ないということかもしれない。人間と鬼は手を取り合える……良い意味でも悪い意味でも、と言うことか。

僕のヒーローアカデミア

オールマイトは物語としては本来死んでおくべきだったと思うんだけど(生きていると円滑にデグの自立に繋がらない)、まあ生徒が自分から巣立っていくのを見ていくことが出来る今の立場もそんなに悪くないのかもな。

呪術廻戦

頭の縫い目が気になっていたので、夏油が死んでいたのは別に意外ではないね。その正体が気になるところだけど、女性っぽい喋り方だから特級術師の九十九が怪しいのかなあ。ちょっとあからさまに怪しすぎて、ミスリードのような気もするけど、そこまでは奇を衒わないような気がする。

発動条件の五条悟の脳内時間で1分、というのは理屈がよくわからなかった。なんだそのふわふわした説明は……。そんなのが通るなら、発動条件なんてあってないようなものじゃないのか……。これはちょっと納得しかねるがまあそこは目をつぶるしかないか。

AGRAVITY BOYS

超光速通信機が無駄になっていないところが良かった。ちゃんとストーリーが繋がっている感じがするね。二話で行った決断が主人公たちの糧になっている。この辺りが単なるギャグ漫画では終わらない器の広さを感じさせるね(ギャグ漫画だけではダメという意味ではないよ)。

過去のエピソードが普通に「こいつらマジで青春してんな……!」って感じの良い話だったのに、そのせいでクリスに欲情する後半の話があまりにもひどい……。高次元存在さんは本当にひどいことをしたよね……仲の良い四人組の人生がめちゃくちゃだ!過去の友情がすべて台無しじゃねーか!!正直、めちゃくちゃ笑いました。

あと、クリスに欲情することに葛藤する三人メインのクソギャグではあるんだけど、それもクリスを傷つけないようにという三人の友情の証でもあるため不快感がないのが素晴らしいね。

ハイキュー!!

潔子さんには気がつかなかったなあ。最初は読み飛ばしちゃったよ。彼女が歯を見せて笑うとはイメージがあまり湧かなかった。これは田中の影響かな。いつも一緒にいると人格とか癖とかに影響を受けていくものだし、夫婦の顔が似てくるというのはそういうことだもんね。苗字が一緒なので結婚をしたということなんだろうけど、ずいぶん早いな……。まだ大学を卒業したばかり?大学は行っていないのかもしれないが。でも、そんなに意外性はないかもしれない。田中は告白のセリフが「結婚してください!」だし、潔子さんも告白を受け入れる時は「よし結婚しよう」と言いそう。彼女は男らしいところがあるからな。

狐日和の紺次郎

なんとなく北条司の匂いがするのはなぜだろう……シティハンター感がある。シリアスだけどシリアスになりきらないゆるギャグが入るところがそう感じるのかな。ただ、個人的な趣味の話をするなら、最後のところは徹底して格好良く描いても良かったんじゃないかと思う。ギャグに傾き過ぎて、剣劇の緊迫感があまりないし。その辺は作者の趣味なのかもしれないけど、どんなにギャグをやってもいいけど主人公は格好良くないと読者に支持を受けるのは難しいんじゃないかなあ。シティハンターは最後はちょっとくさすぎるぐらいに冴羽獠を格好良く描いていたよね。あれも良し悪しはあるんだけど、あっちの方が少年誌向けなんじゃないかと思う。

チェンソーマン

デンジの切り替えの速さがむしろリアルで良いね。もちろん後に引くタイプもいるけど、人間はいつまでも悲しい気持ちでいられるわけじゃないし、楽しい気持ちがなくなるわけでもない。デンジは素直だから、そういう感情がすぐに表に出てしまうんだろうね。

新登場の三人組はものすごく出落ち感がある……。来週には死んでいても不思議ではない雰囲気だ……。まあそんなことを言っていたら大暴れする可能性があるのもこの作品ではあるよね。こいつらはデビルマンではなさそうだけど、それでも強キャラというのもカッコいいしなあ。

地獄と悪魔の話はすごく興味深い。世界観についてまともに言及したのはほとんど初めてなんでは?特に悪魔がどこから来るのか、死んだ悪魔はどこへ行くのかまで明らかになった。地獄で殺されることで悪魔は地上に現れる。殺される時にはチェンソーの音がする。これだけ考えると地上に悪魔を送り出しているのはチェンソーの悪魔と言うことになる。しかし、チェンソーの悪魔ことポチタはデンジと融合しているし、そうするとチェンソーの悪魔を地獄で殺されているということか。なんだかスッキリしないね。

ZIPMAN

やはり弟が全然頭が良いような気がしないのが問題だね。いや、頭が良い馬鹿と言うのもいるから、そう言うキャラクターとして描かれているのなら問題ない。でも、弟は天才キャラとして設定されているので違和感があるんだよね。主人公も顔が怖いと言う以外にどういうキャラクターなのか見えてこない。キャラクターが立ってない気がするなあ。

ブラッククローバー

敵が全員零域とはずいぶんインフレしてきたなあ。ジャンプらしいと言えばらしいけど、これは主人公の周辺以外は全員足手纏いになる展開かな。このまま過剰なインフレにならないと良いけど、ヴァンジャンスはここでやられそうな気がしてならない。噛ませムーブだよねこれ……。

お兄タマは猫じゃニャい

突然出てきた友人らしい二人組がなんだったんだ……。ひたすら説明的に状況を説明してくれて物語的にはありがたいのかもしれないが、本当になんなんだろうな。基本的に微妙にツッコミがいない展開に不思議な味わいがある。主人公二人の関係性が特に変化していないように感じるのはちょっとマイナス点。不良の襲撃もなにがしたいのかよく分からないね。

ぼくたちは勉強ができない

受験生という立場を失ったことで、自分の立ち位置を見失うと言うのはリアルだね。もうなにをするにしても、受験生というエクスキューズが通用しない。成幸君は何者でもない一人の男としてうるかと向き合わなければいけないんだね。

夜桜さん家の大作戦

公務員スパイの人が七悪を殺すのは意味不明、さすがに他の理由があると思いたいな。無毒化している最中に殺したら毒が解放されてしまうんじゃないか?それとも毒と完全に消滅させる方法があるのか?それならさっさと来てやってくれよ。夜桜より後手に回っておいてイキっている感じが情けない。

ゆらぎ荘の幽奈さん

千紗希さんがメインになると話がドロっとするな……。他のキャラだとアホエロな展開になるのに……。これは良くも悪くも彼女はこの作品における“現実”を代表するキャラクターと言うことなんだろうね。他は色々な意味で人間的な倫理観がぶっ飛んでいるもんな。

ミタマセキュリ霊ティ

ゾビロさんが冷え性…?だの「こいつらはすぐに翼を生やすな」だのいちいち笑わせて来るな……!ソウヤの「ARE YOU READY」にはもう耐えられなかった……。カッコいいシーンで笑わせて来るのをやめろ……!この作品の凄いところは1ページに必ず笑いポイントを仕込んでいて、それでいてちゃんとストーリーも展開しているところだと思う。

サムライ8

冒頭の早太郎はどこから来たの……?あと、その体勢では鍵を引き抜くのは難しいような気がするなあ。
「親の仇を討たせてくれてありがとう」ってなんだこの日本語?初めて聞いたよこんな言い回し。斬新なのかもしれないけど聞いていて気持ち良くないなあ。ここだけじゃなくて全体的に不思議な日本語を使うよね。「いいやつ」を多用する言い回しと言い、言いたいことを優先しすぎているんじゃないかな。そのせいでいろいろ不自然な展開やセリフが多くなるんだろう。

ところで10億を自分のものにしてしまったわけですが、それは弁が詐欺で集めた金なのでは?そういうのを勝手に持っていってもいいのだろうか。おい、連邦の捜査官、いいのかアレ。

ラストのウインク星は意味不明だったけど、右目のウインクは悪巧みで、悪巧みが明らかになったという表現なのね。なるほどなあよく考えている。だからなんなの?という気がするけども。少なくとも2ページも使うような描写ではないよね……こんなの最後のページに小さく描いて、気がついた人がフフってなるぐらいじゃないの。自分のアイディアをどんだけ読者にアピールしたいんだろう……って思っちゃうなあ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA